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2005年1月23日 kodo | | コメント(0) | トラックバック(0)

兄というのは、
上の口の部分を、「口(くち)」ととるか、「頭(あたま)」ととる場合が多いようです。

『漢字源 改訂新版』(藤堂明保ほか編、小学館、2002年)

象形。兄は頭の大きい子を描いたもので、大きいの意を含む。

『漢字字源辞典』(山田勝美・進藤英幸著、角川書店、平成7)
「ことば」の意味を表す「口(くち)」と、音の表す「儿(尫(おう))」とからなる形声字。「光」参照。
ということなので、「光」を参照してみると、
「尫」は、佝僂(くる)(せむし)の形象であるが、ここでは「ワウ」の音を表す音符である。
とあります。

『初等漢字の教へ方』(後藤朝太郎著、関書院、昭和11)

兄の字は、口と人の姿の両要素からなつてゐる。口は果して目口鼻の口か、それとも首全體を四角形で表はした者であるか、その邊は明かでない。しかし見の字が目の所を誇張して、首全體にかへ、そして見るはたらきを極度に理解させようとしてゐる所からみると、兄の方もその口角を十分開いて大いに口幅ひろく叫び命じてゐる所の示されてゐるものかも知れない。

白川説をみてみましょう。
『常用字解』(白川静著、平凡社、2003)です。

会意。口と人(儿)とを組み合わせた形。口はサイで、神への祈りの文である祝詞(のりと)を入れる器の形。兄はこの口(サイ)を頭上に載せている人を横から見た形で、神を祭る人をいう。兄弟のうちで家の祭りごとを担当したのが長男であったので、兄は「あに」の意味となる。 長兄が家の祭祀(祭り)を嗣(つ)ぎ、季女(末娘)が嫁がずに家に残って家の祭祀を守るというような習俗があった。 古い字形には、袖に舞うときの飾りをつけた字や跪(ひざまず)く形の字があって、兄が祭りに従事する人であったことが知られる。 兄に祭卓(神を祭るときに使う机)の形である示(じ)を加えると祝となり、はふり(神に仕える人)をいう。

『字通』(白川静著)には、

口は(さい)、祝詞を収める器。そのことを掌る人を兄という。字の構造は、見や望の初形が目に従い、聞の初形が耳に従い、光の初形が火に従い、それぞれの下に人を加えるのと同じ造字法である。長兄は家の神事を掌るもの、すなわち祝となるべきものであった。卜文・金文の字形に、袖に飾りをつけて舞い祈る意を示すもの、また跪く形のものがあって、兄は神事に従うものであったことが知られる。
とあります。

「兄」という単純なかたちの字なのにもかかわらず、
ずいぶんと字説がことなりますね。
どれが正しいかはわかりませんし、解釈なのでひとそれぞれでしょうが、
現在は白川説が有力になりつつあるようです。

口がサイ、すなわち神に祈る祝詞を収める器であるというのが、白川文字学の基礎にあります。これは世紀の大発見でしょう。兄はこれを戴いて神を祭る人をあらわすのです。

「兄の字形の袖の部分に、舞うときの飾りをつけた字があり」(字統)などは、甲骨文を仔細にみてはじめてわかることであり、とても説得力があります。

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