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墨について(2) - 墨の摺り方

2008年3月14日 kodo | | コメント(0) | トラックバック(0)

二、墨の摺り方
まず硯に少しだけ水を垂らす。実際に墨を塗らすのは、一ミリ位だと心得ること。充分に濃くなったら、はじめて墨池に墨を移し、これを繰り返す。硯に一度に水を入れて、墨池から水を戻しながら摺ってはならない。淡墨が欲しい場合にはこの濃墨に更に水を足してお望みの濃さとする。初めから薄く粗に摺ったものでは、本当の淡墨の持味が出ない。
墨は無我の境地にて静かに摺るのが理想であるとされている。力を加えて押し付けたり、速く摺ったりしてはならない。力を加えると粗く下り、すぐに死んだ粒子ができてしまう。従ってうまく発墨もしない。墨を軽く支えている気持ちで、墨の重さを利用して、静かに摺るのがこつである。十歳位の少女に摺ってもらうと良く発墨するという。力加減と手の柔らかさと童心が、粒子を均一に分散させるからである。
墨は摺った後必ず拭いておくこと。そのまま放置すれば膠が変質してしまうばかりでなく、墨に沢山の亀裂が出来るので脆くなる。従って、この墨の墨汁の中には死んだ粒子が沢山生成する。夏季の湿気の多い時は磨り口が膨れ易く、冬はひび割れて硯中に墨屑が落ちる様になる。墨の取り扱いは十分に注意すべきである。
墨汁の乾いたもののことを滞墨という。硯で墨を摺って字を書いていると、知らぬ間に硯の墨汁が乾いてしまうことがある。これを再び水で溶いて使っても、墨の粒子が完全に死んでしまうため、生きた作品は得られない。滞墨の粒子は紙や布の表面を蔽い、深みのない不安定な墨色を表し、作品は生気を感じさせないものとなってしまう。この点は、どんなに良い墨でも同じことである。墨汁が乾かぬように厳に注意しなければならない。硯池に十分に墨汁を用意しておけば、乾く心配はない。


「墨について(3)」に続く。

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